いつも大変お世話になっている社長様から深く腑に落ちる話を伺いました。
私は現在、多数の企業の社長様とお話をする機会を頂いておりますが、比較的多くの方がストイックなスポーツを趣味にされていると感じておりました。
中でも、トライアスロンは一般の方々より明らかに大きい比率で趣味にされている社長様が多いのです。普段からストレスの多い職業と役職であるにも関らず、距離や頻度に違いはあるものの、不思議に思っていた事象の一つなのです。
しかし、先日お話を伺った社長の一言で、理由の一端が分ったような気がします。
決して健康の為では無いことは明らかです。何故ならトライアスロンの場合、体脂肪率が健康的な数値よりも低く、尚且つ激しい体力の消耗との戦いになるため腎臓にも負荷がかかり尿酸値が高くなるそうです。通風になりやすい体質にもなってしまいます。もちろん、程よく行えば健康の向上に寄与するものにも変化します。つまりサジ加減とも言えなくもないのですが、そこはタフな社長様達ですから、レースでの戦いを目標に設定されています。一言でいえば、ツライのです。
さて、ここからが本題です。レースになりますと遊び半分で出場することは怪我や体調を崩す要因になりかねません。また、普段忙しい日常を送っているために、貴重な時間を割いてチャランポランに出場することもありません。レースに向けたトレーニングを積み、レース当日に向けた調整をして臨むのです。
若干話が逸れますが、24時間テレビという番組を御覧になった方もいると思います。メインの一つとしてマラソンが行われます。見ていないにしても、翌日のニュースなどで誰々が完走した。といった報道がされるので一応耳には入るものです。おおかたテレビで注目される時間帯は、マラソンの中盤、そして終盤の一番苦痛に顔が歪む中、足を引き摺りながら走る姿でしょう。これは観る側の興味が一番高まる時間帯なのですが、実際に走る側、話を戻してトライアスロンで戦う社長側にとっては、リタイアする理由を探す時間帯になるそうです。不思議に思われる方もいらっしゃると思いますが、人間は辛くなると、いま走っている理由や意義、身体の痛い場所をそれこそ一生懸命探し始めるそうです。
この状態になるまでには、レースという環境と本当の辛さがミックスして襲って来ないかぎり訪れません。そして、痛い場所探し、意義探し、意味探し、目的探しの苦悶を乗り越えた先がゴールになっているのです。ゴールした瞬間に意識の転換が起こり、充足と喜びに変る事は素人の私にも想像は出来ます。お話を伺って私は、「これか」とストンと腑に落ちたのです。社長は常に日常の経営の中で恐れや不安と戦っているのだと。そしてこの恐れや不安を味わい克服する社長しか知らない喜びに挑戦しているのだと理解したのです。
こうして文章にしてしまうと、いささか安っぽくなってしまいますが、御本人を前にし、御本人の口からお話を伺うと、言葉だけでは無いニュアンスを感じることが出来ます。
どのような職業であれ、どのような境遇であれ、皆何かに向かい戦い、挑戦し続けているのだと痛感します。