願望のイメージ

皆さんは「成功哲学」「願望実現」といわれる分野の書籍を読んだことがあるでしょうか。

私はその手の本も大好きで昔から主だった書籍には目を通してきました。このジャンルの書籍は膨大な数が出版されていますが、私が読んできた書籍群に限って言えば、ある特徴というか傾向がありました。それは、願望をイメージして現実になったところを想像する。もしくは明確に願望を立てそれを達成したイメージを持続させるというものです。

このあたりは皆さんもよく御存知かと思います。しかし、本を読んで実際に願望実現を達成された方というのはあまり多くはないのではないかと私は予測しています。こんな事を書くとせっかく希望に胸を膨らませ本を手にしている方に水を差すようで恐縮なのですが、実際に私がそうでした。しかし、ひとつだけ確かに実現したことがあります。その手法は、「願望を忘れる」という意外な経験が実証してくれました。

私が二十代の頃、会社を立ち上げとにかく苦しく難しい経営という仕事の中で、願望実現に関する本を参考に「目標もしくは願望を紙に書く」という作業をしてみたのです。そして書いたものを常にイメージ出来るように持ち歩いていました。ここまでは概ねどの書籍にも書かれていることですが、この先が今まで読んできた手法とは違います。願望実現には常にプラス思考が重要視されます。とにかく前向きに、願望が達成されることをイメージするのですから当然です。

しかし、私の置かれていた現状は厳しく、とても前向きに常に思考をコントロールすることは不可能でした。そして、次第に熱は冷めていき自分の願望さえ忘れて日々をとにかく乗り切ることが精一杯の毎日を送っていたのです。完璧にネガティブ思考へとシフトし、不安を原動力として行動するようになっていました。

そして数年が経ち、会社を移転することが出来るようになったとき、衝撃を受けます。移転に伴い机を整理していると、数年前に書いた願望ノートが見つかり、パラパラと中を開いてみると、なんと…全て実現していたのです。もちろん風水も指導して頂き、良いと思われるものは実践してきましたが、当時の私は決してプラス思考ではありませんでした。

時は流れ、つい最近黒門先生と何気ない会話の中で、成功に対する黒門先生のご意見を伺うことが出来たのですが、ここでも衝撃を受けました。「プラス思考だけでは成功できない、不安を抱えた臆病な者が成功する」…参りました。